隣のぼーいふれんどサマ。




その日、あたしは夢を見た。


いつものあの夢だけじゃなく、いろんな夢を。


あたしと俊哉とお兄ちゃんで遊んでる夢。


風邪をひいて寝込むあたしの手を握っている、お兄ちゃんの夢。


雨の中傘を持ってあたしを迎えに来てくれた、お兄ちゃんの夢。


病院で俊哉と一緒にあたしの手を握る、お兄ちゃんの夢。


どの夢にも、智也お兄ちゃんはいた。


そうやってずっとあたしのそばに今もお兄ちゃんはいてくれてるのかな?


お兄ちゃん。


今まで知らなかった存在のはずなのに、急に切なくなる。


きっとあたしの記憶には、お兄ちゃんとの思いでがいっぱいだったはず。


事故なんかなければ、その思い出も、ましてや大切な人を失わずに済んだのに・・・。


「・・・っ」


涙が止まらないよ。


ねぇ、お兄ちゃん。


「大丈夫」って言って。


あたしを抱きしめて、優しく微笑んで。


お兄ちゃん・・・。


「・・・カズ・・・」


そのとき、誰かがあたしを呼んだ。

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