隣のぼーいふれんどサマ。



物音がする。


水の音?


誰かいる。


あたしは重い瞼をゆっくりと開けていく。


視界がぼやけているが、一人の人影が見えた。


時間が経つにつれ焦点が合い、その人の姿を現していく。


「・・んや・・・」


思うように声が出ない。


あたしの小さな声は届いていない。


もう一度、力を精一杯込めて、名前を呼ぶ。


「・・・俊哉。」


今度はちゃんと声が出て、彼に聞こえたようだ。


俊哉はあたしを見ると、ひとつ深いため息をつき、あたしの体を抱きしめた。


「ちょっと、俊哉。」


あたしは抵抗をするが、俊哉には敵わない。


そして不安でいっぱいだったあたしは、あまり抵抗をしなかった。


このまま俊哉に抱かれていたかったから。

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