隣のぼーいふれんどサマ。
切なくて、どんどん溢れてくる涙。
俊哉は黙り込んだ。
その姿を見て、あたしは心の中で怒る。
・・・何かあるなら言えばいいじゃん。
なんで何も言わないの?否定してよ。
セーナとはどんな関係でもないって、俺にはお前しかいないって。
言ってよ。
「何かないの?言い訳。」
「・・・あぁ。何もない。」
俊哉は否定をしなかった。何も言わなかった。
あたしは包み込まれていた左手を振りほどき、そのまま俊哉の頬を思いっきり叩く・・・つもりだったけれど、やっぱりどうしても力を抜いてしまった。
いくら怒ったとしても、大切な人を思いっきり叩くなんて出来なかった。
そしてペチンと弱い音がして、あたしの左手が俊哉の頬に触れた。
・・・この温もりを感じていいのは、あたしだけでしょ。
バカ正直に零れ落ちる涙を必死にこらえ、歯を食いしばる。
あたしの震える手を俊哉の右手が強く捉えた。
そして、俊哉が一言囁く。
「カズ。目、閉じて。」
あたしは言われるがままに、目を閉じた。