隣のぼーいふれんどサマ。


5年間って言った?


あたしの心にひとりの男の人の顔が浮かんだ。


5年前にアメリカへ留学した、隣の家の幼なじみの遠野 俊哉の顔。


大好きってことを伝えられないまま、離れ離れになってしまった俊哉。


目の前にいる人と5年前の俊哉の面影が、少しずつ重なっていく。


何となく似てる。


「あの、違ってたらごめんなさい。・・・俊哉・・・?」


あたしがその名前を出すと、彼の口角がフッと上がった。


「覚えてるなら最初からそう言えよ。カズ。」


“カズ”。その響きは間違いなく俊哉が発する言葉。


あたしのことをカズと呼ぶ人は俊哉以外、誰ひとりいない。


嘘・・・


この人は俊哉なの・・・?
< 6 / 205 >

この作品をシェア

pagetop