隣のぼーいふれんどサマ。
5年間って言った?
あたしの心にひとりの男の人の顔が浮かんだ。
5年前にアメリカへ留学した、隣の家の幼なじみの遠野 俊哉の顔。
大好きってことを伝えられないまま、離れ離れになってしまった俊哉。
目の前にいる人と5年前の俊哉の面影が、少しずつ重なっていく。
何となく似てる。
「あの、違ってたらごめんなさい。・・・俊哉・・・?」
あたしがその名前を出すと、彼の口角がフッと上がった。
「覚えてるなら最初からそう言えよ。カズ。」
“カズ”。その響きは間違いなく俊哉が発する言葉。
あたしのことをカズと呼ぶ人は俊哉以外、誰ひとりいない。
嘘・・・
この人は俊哉なの・・・?