star light.
第六章
風邪が完治してすぐに、癌の薬の投与が再開された。
「また始まっちゃった…怖いなぁ。」
美緒はだんだんと薬に恐怖心を抱き始めていた。
副作用が辛い。
そう言っていた。
ある日、病室に行くとショートカットの美緒がいた。
「髪の毛が抜け始めたからショートにしてみた!どう?」
「おお、意外と似合ってんじゃん!可愛いよ。」
「だろうね、知ってる!」
なんて言っていたけど、俺が病室を出たあとに泣いていたことを俺は知っている。
「爪がボロボロになっちゃった。」
「顔がなんか茶色くない?」
「浮腫んでて歩くのが辛い。」
そう言う美緒を俺は励ますことしかできなかった。
だんだんとデートに誘っても「体調がよくないから」と言うようになった。
でも本当は、ボロボロになった姿で外に出たくないんだということを知っている。
いってもまだまだ18歳の女の子。
お洒落だってしたいだろうし、可愛く見られたいと思うのは当たり前のことだ。
だから無理矢理外に連れ出すことはできなかった。