Octave~届かない恋、重なる想い~
Prologue
「雅人、と呼んでください、お嬢さん」
緊張する私の隣で、その人は穏やかに微笑んでいた。
「わ、私も結子って呼んでもらえますか?」
お嬢さん、だなんて。
両膝の上に置いた手のひらを握りしめて、私もお願いする。
「では結子さん」
「あの、雅人さんの方が私よりずっと年上ですから、さん付けもちょっと・・・・・・」
そう言うと、ふふっと面白そうに笑って、私を見つめてきた。
周りを少しだけ気にするような仕草。
「それじゃあ、周りに誰もいない時だけ『結子』って呼ぼうか?」
悪戯っぽく囁くその声は、同級生の誰よりも低くて、艶っぽい。
その声が私の心に届いた瞬間、心拍数と体温が一気に上昇した。
緊張する私の隣で、その人は穏やかに微笑んでいた。
「わ、私も結子って呼んでもらえますか?」
お嬢さん、だなんて。
両膝の上に置いた手のひらを握りしめて、私もお願いする。
「では結子さん」
「あの、雅人さんの方が私よりずっと年上ですから、さん付けもちょっと・・・・・・」
そう言うと、ふふっと面白そうに笑って、私を見つめてきた。
周りを少しだけ気にするような仕草。
「それじゃあ、周りに誰もいない時だけ『結子』って呼ぼうか?」
悪戯っぽく囁くその声は、同級生の誰よりも低くて、艶っぽい。
その声が私の心に届いた瞬間、心拍数と体温が一気に上昇した。
< 1 / 240 >