Octave~届かない恋、重なる想い~

 市内で一番大きなショッピングモールへ到着した。

 駐車場はかなり離れたところまで車がびっしりで、何回かぐるぐる回ってようやく停めることができた。


 家庭用品コーナーで、ランチプレートを探すつもりだった。

 エスカレーターで上の階へ移動する時、反対側、下りのエスカレーターに乗る女の子の姿が見え……。


「あ、宇佐美せんせい!」

 声をかけられ、よく見たらかつて勤務していた中学校の教え子だったことに気が付いた。

 とりあえず手を振ったら「今からそっちに行くから待ってて!」と。


 2階のフロアで待っていると、彼女がすぐ追いかけてきた。

 彼女は3年生の立花亜美。色々あったから忘れられない生徒だった。


「立花さん、お久しぶり。元気だった?」

「うん。先生、なんかキレイになったね。結婚して変わったかも」

「そうかな……? 立花さんも可愛いよ」

「ありがと! 今日のファッションはちょっと気合い入ってるんだ。ところでせんせい、今、時間ある?」

「大丈夫だけど、どうかしたの?」

「話、聞いて欲しいなって思って」

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