Octave~届かない恋、重なる想い~
フロアの真ん中で世間話もどうかと思ったので、場所を移した。
ショッピングモールの中にある、フードコートの一番端の席へ。
立花さんもお昼ご飯を食べていないということだったので、一緒にフライドチキンとポテトとドリンクをオーダーした。
「それで、話ってどんなこと?」
目の前に座る女子中学生は、黙っているととても中学生には見えない、大人びた女の子だ。
気合いの入った服装と自分でも言っていたけれど、オフショルダーのワンピースに腰まである長い髪を無造作におろして、メイクもしっかり。
生徒指導でいつも呼び出され、遅刻が多くて指導され、成績不振で残されていたのを思い出す。
「あのね……実はね……うち、おかんが再婚するかもしんなくて。でも、それやなんだ」
「どうして?」
「せんせいわかんない? 今までずっとおかんとうちの2人で暮らしてたのにさ、そこに無職のわけわかんないオヤジが転がり込んでくるんだよ!」
……それはまた、ヘビーな生活になりそうだ。
「そっか……大変なんだね……」
「せんせい、他人事だと思って適当に流そうとしてるでしょ? だから先生って信用できないんだよね。うちの担任もそうだったし」
そう言われて、はっとした。