Octave~届かない恋、重なる想い~

 それから数日後の昼下がり、我が家にお客様がやってきた。

 インターホンの画面に映ったのは、立花さんだった。

 驚きつつも、彼女を家に上げた。


「いらっしゃい。迷わないで来れたの?」

「うん。ナビ見ながら来たよ。せんせい、いい家に住んでるんだね」

「そうかな? とりあえず、そこへ座ってね」


 今日は教員の研究会があり、市内の小中学校は午前授業だという。しかも給食が出なかったとのこと。

「お腹減ったでしょ? 今、何か用意するから待っててね」

「せんせい、覚えててくれたんだね、約束してくれたこと」

「もちろん。あなた1人のご飯なら、何とかなるわ」


 そう言いつつ、自分のお昼ご飯は既に食べてしまっているので、新たに何を用意しようか、冷蔵庫を確認してすぐにできるご飯を考える。

 食パンが2切、レタスとハムとチーズはある。サンドイッチならできそう。あとは……。


「はい。ポタージュはインスタントだけどね。召し上がれ」

 サンドイッチとスクランブルエッグ、サラダとベーコンで簡単なランチプレートを作った。

「さすが家庭科のせんせいだよね~。いただきま~す」

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