Octave~届かない恋、重なる想い~

 突然始まった悩み相談に、私は驚きながらも平静を装って質問した。

「家の話は、何となく想像できる。でも、どうして学校にも行きたくないの?」

「だって、修学旅行に行けないから。お金、ないんだってさ!」


 そう言って、彼女は目を潤ませた。

 見た目は派手で元気いっぱいの彼女、学校でも派手な女の子のグループにいたはず。

 同じように家庭的に恵まれない子も中にはいるけれど、修学旅行費が払えずに不参加、ということにはならないメンバーだったはず。

 一方で毎年この時期になると必ず話題になるのが、修学旅行費の未払いと不参加。

 不景気な世の中だから、中学校の修学旅行、3泊4日分の旅費およそ4万円を一括で払うのは厳しい、ということはわかる。

 ただ、立花さんの家は生活保護だから、彼女のためのお金が毎月支給されているし、修学旅行費は全額支給されるはず。

 それが出せない、というのは、彼女のために毎月一定額支給されているお金を保護者が使ってしまったということ。


 許せないと思った。何のためのお金なのか。

 子どもにこんなみじめな想いをさせるなんて。

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