Octave~届かない恋、重なる想い~
15歳と23歳
雅人さんに初めて会ったのは、高校入試前のお正月だった。
毎年恒例となった親族の集まりの中に、雅人さんが初めて参加したのがこの年。
会社を経営している伯父が、雅人さんを連れてきた。
一人ぼっちでお正月を過ごす雅人さんをほっとけない、と言って。
独身寮も年末年始は閉めるのが普通だけれど、彼だけは行くあてがなかったらしい。
それで、食事の出ない寮に残った雅人さんを連れ出して、我が家へ半ば強引に連れてきたのが10年前。
15歳の私が、23歳の社会人に憧れを抱くのは、あっという間だった。
宴も盛り上がった頃、酔って上機嫌の父は、私にピアノを弾くように命じた。
父に逆らえない私は、会話の邪魔にならない程度のゆったりとした曲を奏でる。
エリーゼのために
ノクターン
平均律
春の歌……
毎年恒例となった親族の集まりの中に、雅人さんが初めて参加したのがこの年。
会社を経営している伯父が、雅人さんを連れてきた。
一人ぼっちでお正月を過ごす雅人さんをほっとけない、と言って。
独身寮も年末年始は閉めるのが普通だけれど、彼だけは行くあてがなかったらしい。
それで、食事の出ない寮に残った雅人さんを連れ出して、我が家へ半ば強引に連れてきたのが10年前。
15歳の私が、23歳の社会人に憧れを抱くのは、あっという間だった。
宴も盛り上がった頃、酔って上機嫌の父は、私にピアノを弾くように命じた。
父に逆らえない私は、会話の邪魔にならない程度のゆったりとした曲を奏でる。
エリーゼのために
ノクターン
平均律
春の歌……