Octave~届かない恋、重なる想い~

夫としての覚悟


 雅人さんからのアドバイス通り、私は勇気を出して児童相談所へ連絡をした。

 職務上知り得たことを暴露してしまうのにはかなりの抵抗があったけれど、守秘義務よりも生徒の命が大事であり、何よりもそれを守ることが優先されるのだからと、雅人さんに説得された。

 夜遅くだというのに、児童相談所の方も真剣に話を聞いてくれて、まだ家に帰っていない彼女を見つけ次第保護できるよう、動いてくれると約束してくれた。


 だけど、日付が変わる頃になっても、立花さんは自宅へ戻ってこなかった。

 担任、副担任、学年主任、生徒指導部の教員が手分けして探したけれど、まだ見つからないという連絡が私の元へ届いたのが、12時頃。

 心配で居ても立っても居られない私は、彼女が行きそうなところを自分でも探そうと考え始めた。

「雅人さん、私、やっぱり探してきます」

 すると、雅人さんは首を横に振った。

「結子一人では行かせられない。どうしても行くと言うのなら、俺も一緒に行く」


 
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