Octave~届かない恋、重なる想い~
とりあえず、立花さんが不信感をもたないように、一度自分の部屋へ行き、落ち着くことにする。
今夜は色々なことがありすぎて、選挙戦最終日や開票日よりドキドキしている。
部屋に入って深呼吸をして、頭を働かせようと試みる。
もし、性的虐待があったとしても、こちらからそれを突きつけることになるような質問はできない。
立花さんが自分から話し始めるのを待つしかない。
何事もなく無事に逃げてきた場合であっても、私がそういう疑問を投げかけるだけで彼女を傷つけてしまうことにつながる。
私にできることは、質問攻めにすることではない。
彼女の話を受け入れること、居心地の良い場所を提供すること。
……ソファを汚さないようにという気づかいから座らずにいたのだとすれば、早く用意してあげなくては。
幸い、未使用の生理用ショーツがあったので、それと一緒にパジャマと多めのナプキンとバスタオルを渡すことにする。
おそらく、彼女はこのまま自宅に戻らず、児童相談所で一時預かりになってしまうだろうから。
最初の面談が終わるまでは、生理用品をください、なんて言える余裕はないはず。
性的虐待の疑いがある子どもだから、きっと女性の職員が対応してくれるだろうけれど、そこへ行きつくまでが心配だった。