Octave~届かない恋、重なる想い~

 こうして、深夜にまた三人で集まって作戦会議が開かれることとなった。


 立花さんはこのまま我が家から登校する。

 私と雅人さんと二人で学校まで車で送り届け、学校に着いたら立花さんのお母さんをこの車に乗せる。

 それから雅人さんの考える「安全な場所」へ連れて行く。

 それら全てをお母さんの彼氏にバレないように行うため、立花さんはお母さんにSNSでメッセージを送信。
 
 深夜だから気づかないだろうかと心配したけれど、お母さんはちゃんと気づいてくれた。


『おかん、起きてる?』

『起きてるよ』

『起きてるの、おかんだけ?』


 やや間があったような気がしたけれど。


『そうだよ。何かあった?』

『今から送ること、絶対ナイショにして。いい?』

『OK』

『うち、明日から家に戻らないから』


 また、少しだけ時間を置いてから、返事があった。


『どういうこと?』

『安全なところに行く』

『どこ?』

『言えない。おかんも安全なところへ行ける』

『だからどこ?』

『明日の朝、最低限の荷物だけ持って登校時間までに学校に来て』

『何で?』『どこ行くの?』

『言えない。このメッセージ削除して。おやすみ』

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