Octave~届かない恋、重なる想い~
忘れられない人と久しぶりに再会して、まさか二人で食事をするなんて。
しかも随分、込み入った話を聞かれているような気がする。
古くから我が家の事を知る雅人さんには、何となく安心して話せるのだけれど、どちらかといえば私は聞き役タイプ。
雅人さんは話の誘導が上手だから、つい、素直に話してしまう。
本当は私の方が、色々と聞きたいのに。
「……相変わらず、綺麗な食べ方をするんだね」
「え!? そうですか?」
「うん、食べ方には育ちの良さが現れるって言うけれど、まさにそんな感じだ」
「自分ではわかりません……」
「それだけ、幸せに育ったって事だよ」