Octave~届かない恋、重なる想い~
にっこり微笑んで、そう言われた。
それは確かに、否定できない。
両親は私と淳史をとても大切に育ててくれたと思う。
だから、期待を裏切らない子どもになりたいと頑張ったつもりだった。
それなのに、こんな肝心な時に私は両親や家族の支えになれない。
「大丈夫、お父さんもきっと、自分で食事ができるようになるさ」
雅人さんがまた、私に励ましの言葉をくれた。
私が沈んだ気持ちで食べているのを見て、父の事を考えているのだろうと予想して声をかけてくれたに違いない。
「ごめんなさい、楽しい食事にできなくて……」