Octave~届かない恋、重なる想い~

 雅人さんが私の言葉を補足する。

「選挙でバタバタしていたこともあり、挙式と披露宴は落ち着いてから行うと説明してきました。お義父さんの体調を考慮して、寒くなり過ぎない時期に披露宴を行いたいのです」

「……ということは、あまり時間がない?」

「そう。だからあと二か月、お父さんにはリハビリを頑張って欲しいの。お母さんは無理をしないで、ヘルパーさんを頼んで欲しいの。二人とも万全の体調で参列してね」

「わかった」


「それで、挙式はどうするの、結子」

「色々考えたんだけど、雅人さんの選挙区であるここで挙式をするとなれば、神社とお寺と教会のどこにお願いしても後で色々言われてしまうかなって。だから私と雅人さんの二人だけで地元から離れて挙げるつもり」

「それもいいかも知れないわね」

 母も納得してくれたようだった。

「披露宴は伯父さんの会社の取引先であるイーストホテルを仮押さえしているから」

「お義父さん、お義母さん。ご協力、よろしくお願いします」


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