Octave~届かない恋、重なる想い~
誓いの言葉
花嫁からの手紙
披露宴を翌日に控えた夜。
こんな日であっても忙しく勉強会へ参加している雅人さんを待って、ダイニングテーブルでぼんやりとしていた。
婚姻届けを提出し、同居を開始してから既に半年以上が過ぎた。
その間、私達の距離はどうなったかというと、夫婦どころか恋人からもほど遠く、強いて挙げるとすれば、親友……いや、戦友だろうか。
役割分担はバッチリ、家事もできる限りこなしてくれる雅人さんは、ハイレベルな主夫にだってなれそうだ。
それでも専業主婦となった私を立てて、料理を喜んでくれたり、家が綺麗で嬉しいと褒めてくれたり、やる気を高める言葉を常にかけてくれる。
だから私も丁寧に家を磨き、ワイシャツのアイロンをかけ、バランスのよい献立を心掛けるようになった。
雅人さんの「ただいま」の声が聞こえると、途端に胸が苦しいような、甘い痛みに襲われる。
玄関で「おかえりなさい」と迎え入れる瞬間が、何よりも幸せだと思う。
「今日もお疲れ様でした」と言葉をかけると、照れたように笑って「結子もお疲れ様」と、頭を撫でてくれるようになった。