Octave~届かない恋、重なる想い~
「私達の結婚を温かく見守ってくださった、ご参列の皆様。
孤児院出の私を差別することなく、奨学金を与え、さらには社員として受け入れてくだった宇佐美社長。
娘の結婚相手として、私を認めてくださったお義父さん、お義母さん。
そして、一時は私から突き放されて傷つき、私の生い立ちを知ってもなお、私との結婚を選んでくれた結子。
控え目で優しくて、いつも笑顔と気遣いを忘れない……出会ってから十年で、結子は私の理想の女性へと成長しました。
ただ、背はあの時から伸び悩んでいるそうで、本人は気にしているようです。
実はそれも私にとっては気に入っているポイントのひとつです。
見た目も性格も、絵に描いたような大和なでしこなのに、いざという時は刺青をちらつかせたヤクザにも食って掛かり、身体を張って生徒を守ることのできる度胸と、不正や悪行は絶対に許さないという正義感の強さ。
八歳も年下の彼女から、私は教えられること、気づかされることが沢山ありました。
お互いを尊重し合い、高め合うことができるパートナーであり、彼女なしの人生はもう、考えられません。
こんなに恵まれた環境にいられる私は、本当に幸せだと実感しております」