Octave~届かない恋、重なる想い~
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
披露宴と二次会が終わり、身軽になった私達はそのままタクシーで自宅へ戻ってきた。
エレベーターで二人きりになった時、そっと抱き寄せられて驚いた。
今までの雅人さんは、二人きりの時には接触することを避けていたから。
玄関に入り、靴を脱ぐ前に抱きしめられた。
「えっ!?」
「今日からはもう、我慢しない」
「……っ!?」
疑問が外に出る前に、雅人さんの唇で封じ込められてしまった。
アルコールの匂いと、今、されていることで、正気を保てなくなりそう。
そのまま何度もキスされて、座り込んでしまいそうになったところで、身体を横抱きにされた。
お姫様抱っこのまま、リビングのソファの上にそっと置かれる。
「このまま寝室に連れて行きたいところだけれど、風呂に入りたいだろうし」
「そそそそれって」
「家庭を作るんだろう? 俺達は今『夫婦』という単位だ。『家庭』になるために必要なのは?」
「子ども……ですか?」
「君との子どもだったら、愛することができるって気づいた。だから」