Octave~届かない恋、重なる想い~
「まあね。……それから2つ目。宇佐美家としては、淳史君が被選挙権を得る時には、地盤を譲ることが条件のはず。
 俺もその頃には道議会議員候補にステップアップするつもりだから、地盤はカブらない」

「そうですか……」


 楽しそうに計画を話す雅人さんが、何だか別人のように思えてきた。


「3つ目。君は選挙に出ることも、議員になることも免除される。
 ……まあ、妻として裏方で少しは頑張ってもらわなくてはならないけれど、自分が出るよりはいいだろう」

「……はい」

「そして俺は、良家のお嬢さんを妻に迎え、宇佐美の苗字を手に入れる。
 これでやっと、解放されるんだ……」


 何から解放されるのか、怖くて聞けなかった。
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