Octave~届かない恋、重なる想い~
 翌朝、少し疲れが残る身体に溜息をつきながら、ベッドから抜け出た。

 大きく伸びをして、両手で頬を軽く叩く。

 寝ぼけてはいられない。

 これから飲み込まれる予定の流れがいい方向へ向くように、できるだけ自分でコントロールしなくては。

 そのために私ができることは、かならずあるはず。

 まずは私の気持ちの問題。

 たとえ、雅人さんが私の立場を利用しているだけで結婚を申し込んだとしても、それを受け入れよう。

 4年間、偽装結婚すると思ったら辛くなるから、4年間「お試し期間」がある結婚だと思えばいい。

 もしかしたら、それより早くその「お試し期間」が終わるかもしれないのだから。

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