Octave~届かない恋、重なる想い~
 調理実習は何とか無事に終わった。

 ムニエルが焦げたり、まだ具材が固いミネストローネが出来た班もあったけれど、とりあえず及第点。

 ……包丁を持って振り回す生徒がいなかったこと、誰も怪我をせず、怪我をさせずに終われたこと。

 これが何よりも大事。

 毎回、調理実習の度に、無事に終われたことを感謝している。

 何事もなく授業が終わる事は、滅多になかった。

 出来たら褒める、出来なかったら次はどうすれば上手く出来るようになるかを確認するという、地道な指導を続けていても、やっぱりここの生徒達は「めんどくせ~」を連発する。

 学生がめんどくさかったら、社会人はどうなるの! と私は毎回心の中で叫ぶ。
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