Octave~届かない恋、重なる想い~
 家に着いて、まずは着替える。

 化粧直しが終わるか終わらないかというタイミングで、チャイムが鳴った。

 ドアホンに映ったのは、スーツ姿の雅人さん。

 鍵を開けてとりあえず玄関へ招き入れると、彼の身体の大きさで、狭い玄関が余計に小さく見えた。


「中へどうぞ」

「お邪魔します」


 まさか今日、家に来るとは思っていなかったので、きちんと掃除してある訳ではない。

 普段通りの家の様子を見られて、ちょっと恥ずかしかった。
 

「綺麗で女性らしい部屋だね」

「……そうですか? お世辞でも嬉しいです」

「いや、お世辞じゃないよ。急に来たのにきちんと片付いているのはさすがだね」
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