Octave~届かない恋、重なる想い~
 良かった、それほど散らかしていなくて。

 もしかしたら、妻としての家事能力をチェックしているのだろうか。

 ソファに座って、あちこち見回している雅人さんの様子が気になってしょうがない。

 ただでさえ、雅人さんと二人きりで緊張しているというのに、彼の心の中の評価が気になって、余計にドキドキする。

 何か話した方がいいかも知れないと思い、自分から切り出した。


「雅人さん、昨日の結婚の話ですけれど……」

「受けてくれるね?」

 自信たっぷりな様子で、そう言われてしまったので、私の返事もそれに呼応したものになった。


「はい、お受け致します。我が家を……助けて下さい」
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