Octave~届かない恋、重なる想い~
 私の返事を聞いて、雅人さんはとても満足そうに頷いた。


「嬉しいよ。きっとそう言ってくれると思っていた。
 ……長年の夢が、叶う」


 政治家になる夢、ということ?

 そんなに政治家になりたかったなんて、政治家が嫌だった私からは考えられないのだけれど。


「早速だが、今後の段取りを話し合っておきたい。
 それが終わったら、どこかで食事しよう」

「わかりました」

「まず、この週末にお父さんの病室と君の実家へご挨拶に伺うよ」

「もう、ですか!?」

「そうしないと、選挙戦が始まってしまう。
 できるだけ早く入籍したいんだ。その方が好都合だ」
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