Octave~届かない恋、重なる想い~
母の背中
雅人さんの話は、淡々と進んでいく。
結婚前に知らせるべきだと考えて、言いにくいことも全て伝えようとしてくれているのだろうか。
「母は俺を産んだ後も、看護師として同じ病院で働き続けた。
小さい頃は、院内保育園にいる時間の方が長かったよ。
その頃から、母は俺をモノのように扱っていた。
周りからは研修医に捨てられた哀れな看護師だと思われて、その元凶である俺のために苦労して。
子ども心に、自分はいらない子どもだって思いながら生活していたんだ」
「どうして、そう思ったんですか?」
「面と向かって言われたよ。
『お前なんかが生まれたせいで、私の人生はめちゃくちゃだ。
だんだん先生に似てくるその顔、見たくもない』ってね。
先生っていうのが俺の父親で、父親に対する憎しみが全部俺に向けられているんだって思ってたよ」
結婚前に知らせるべきだと考えて、言いにくいことも全て伝えようとしてくれているのだろうか。
「母は俺を産んだ後も、看護師として同じ病院で働き続けた。
小さい頃は、院内保育園にいる時間の方が長かったよ。
その頃から、母は俺をモノのように扱っていた。
周りからは研修医に捨てられた哀れな看護師だと思われて、その元凶である俺のために苦労して。
子ども心に、自分はいらない子どもだって思いながら生活していたんだ」
「どうして、そう思ったんですか?」
「面と向かって言われたよ。
『お前なんかが生まれたせいで、私の人生はめちゃくちゃだ。
だんだん先生に似てくるその顔、見たくもない』ってね。
先生っていうのが俺の父親で、父親に対する憎しみが全部俺に向けられているんだって思ってたよ」