Octave~届かない恋、重なる想い~
「すぐにわかるよ。ほら」


 そう言うと、ソファから立ち上がって、雅人さんが近づいてきた。


「そんなにガチガチな状態で俺と一緒にいたら、すぐに偽装がバレる。
 まあ、結婚するまで清い交際だったっていう、今時珍しい2人を演じるのも悪くないと思うけどね」


 私との距離がどんどん近づく。

 ダイニングテーブルが邪魔で、私はこれ以上下がれない。

 あと30センチ、というところで、囁かれた。


「でも、お見合いじゃなく、一応恋愛結婚っていう事にする以上、ここまで警戒されている素振りを見せらつけられたら、すぐにバレそうな気がするよな」

「そうですか?」

「そう。だからこれは、今後のために必要な演技指導」
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