Octave~届かない恋、重なる想い~
「勉強を頑張るということは、忍耐力、集中力、判断力、これらが身につくということに繋がります。社会に出た時に、根性を出して頑張れる、気が利く、そんな人材になれる力の基礎が、学校での勉強です。これをないがしろにし続けた結果が、この街の現状かもしれません」
今の話を聞いて、勤務していた中学校の生徒の様子を思い浮かべた。
挨拶をしない、時間が守れない、授業に集中しない、すぐにめんどくさいを連発する……。
このまま大人になったら、まともに働けないのではと想像していた。
そんな話を、家で雅人さんに愚痴ったこともあった。
もしかしたら、ずっと考えてくれていたのだろうか。
「だから私は、教育政策に力を入れたい。
私のような不幸な子どもをこれ以上生み出さないため、豊かに生きられる街にするにはどうすればいいか。
将来の納税者となる子ども達に、学力も、愛情も、自己肯定感も、めいっぱい詰め込んだ教育をしたいのです。
かつて『詰め込み教育』が問題となり、『ゆとり教育』へとシフトしましたが、それも今は脱ゆとりと言われて久しくなりました。
私の考える『詰め込み教育』は『学力・愛情・自己肯定感』という3つを詰め込みます」