初恋シグナル~再会は恋の合図~


繋がれたままだった手を、辻村くんはするりと離す。


温もりが遠のいて、それがどうしようもなく寂しく感じた。


……本当に、どうしてそんなふうに感じるんだろう。


まだ触れていたい、なんて。



「……知り合いじゃねーよ」


「嘘吐き」



あんなふうに名前を呼んでおいて、そんな嘘、通じるわけないじゃない。


どうして嘘をつくの?


……隠したいような、関係なの?



なんて。



彼女でもないのに。


好きでもないのに、どうしてこんなにもやもやするんだろう。



「……藤桜の時の知り合いだってだけだ」


「本当に、それだけ?」


「……何が言いたいんだよ」



辻村くんの声は、どこか怒気を孕んでいるような気がして。


一瞬怯んだけど、いつもならあっさり答えをくれる辻村くんがこんなに頑なになっていることが、寂しかった。


……ううん。


それ以上に、なんだか、悔しかった。



悔しい、なんてどうしてそんなふうに思うのかそれもわからなくて、またもやもやする──。

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