初恋シグナル~再会は恋の合図~
……ああ。
私の、馬鹿。
どうしてこらえられなかったの。
「泣いてんの…?」
びっくりしたような辻村くんの言葉が痛い。
そんなふうに、軽蔑しないで。
すぐ泣く女だなんて思わないで。
いつもなら、こんなことじゃ泣かないんだから。
……昔の私とは、違うんだから。
「泣いて、ない…っ!」
「……長谷川」
呼ばれるたびに、ツキン、と胸が痛む。
さっきの子は名前で呼んでたよね?
私のことは、あんなふうに呼んでくれないくせに。
……あはは。
何これ、嫉妬?
意味わかんない……。
「あー、ちょっと目にゴミが入っちゃっただけ!
コンタクトだからすごい痛くて!泣ける!」
いたーい、と、本当は痛くもない目を擦ってみせる。
……本当に痛いのは、そんなところじゃない。
擦っても痛みが引くわけでもない。
それに、こんなウソ。
……辻村くんに通じるわけもない。