初恋シグナル~再会は恋の合図~
「何言ってんだよ…。泣くほど傷付けるようなこと、俺、したか?」
「違う!本当に目が痛いだけだから!」
先程よりいくぶん口調を柔らげた辻村くんにも、私はそう嘘をつき続ける。
「……じゃあ、取ってやるから見せてみろよ」
「え……っ!?」
予想外の言葉に驚く間もなく、辻村くんは私の手首を掴んで、狭い路地に入る。
引かれるまま、私の身体は壁に押し付けられた。
「きゃ……っ」
ダン、と思いの他強く背中が壁に当たって、思わずそう声を上げていた。
壁に縫いつけられた手首に微かな痛みが走る。
「顔上げろよ、取ってやるから」
「い、いい…!そのうち涙で出てくるから!」
頑なに顔を上げることを拒んでいたら、ぐっと顎を掴まれて、簡単に顔を上げさせられた。
無意識のうちに、表情が歪む。