初恋シグナル~再会は恋の合図~
「やっぱ、辻村くんが起爆剤になってるのかもね」
「……ですね」
合宿2日目の夜に、大会に出るメンバーが発表されるのが毎年恒例のことなのだ。
だから、この合宿がアピールする最後の場。
いつもなら優先的に3年生が選ばれるけど、今回は確実に3年生より上手い辻村くんがいる。
だから、皆下級生にポジションを奪われないように、必死なんだと思う。
……前ならそんなこと考えなくても良かったのにね。
だから、辻村くんは良くも悪くもその存在だけでうちのチームにとってはすごく刺激になってるんだ。
「そういえば、美祈と辻村くんって最近あんまり話さないよね?
何かあったの?」
何気なくそんなことを訊いてくる美涼先輩に、私は苦笑する。
……やっぱり、そんなふうに思われてたんだ。
「……別に、なにもないですよ。
そもそも辻村くんってあんまり誰かと話したりしないじゃないですか」