初恋シグナル~再会は恋の合図~


私はつとめて普通にそう答えて、夕飯の支度をしてくるからと美涼先輩の傍を逃げるように離れた。


……そんな自分が情けないけど、気付いたらそんな行動に出てしまっていた。



「朱音ちゃん、昼のご飯って余ってる?」


「あ、はい!冷蔵庫に少しだけ」



パス練を手伝っていた朱音ちゃんが、私の質問にも元気に返してくれる。


煌めく太陽がよく似合う、明るい笑顔が今の私には何だかまぶしくて。


私はなんとか笑みを浮かべ「了解」と返して、合宿棟の中に足早に入った。




靴を脱いでスリッパを履き、思わず大きく息を吐く。




────体育祭以降。


私と辻村くんの関係は、お世辞にも良好とは言い難い。


あの時の私は、きっとどうかしていた。


あんなに感情的になるなんて、理解できないもの。


それに、どうしてあんなに腹が立ったのかも、嫉妬したのかも。


……理解、できない。

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