初恋シグナル~再会は恋の合図~
「でも、さすがにいきなり辻村くんを10番にするようなことはしないでしょ。
これまで下級生がレギュラーだったことはあっても、そういう重要なポジションには3年生を置いてきたんだし」
そうは言っても、最終的な判断を下すのは、キャプテンとコーチ。
だから、どうなるのかは全然予想ができない。
穏やかで優しい一紀先輩だけど、実は実力主義なところ、あるし…。
「ま、プレーする側としては辻村の方が頼れるって意味では上だけどね。
でも、松田先輩だけじゃなく他の3年だってそれじゃ納得しないだろうし。
そういうゴタゴタはいちばんチームとしてマズイだろうから、やっぱ松田先輩かな」
「……かもね」
「ま、めんどくさいことにならないことを祈ってるよ。
マネージャーならその辺うまくやってね」
最後にとてつもない要求をさらりと残して、瞬くんはじゃーね、と軽やかに合宿棟を出ていった。
そんな瞬くんの後ろ姿を眺めながら、苦笑が零れる。