初恋シグナル~再会は恋の合図~



後半が始まり、さすがに前半から一変、というわけにはいかなかったけど。


だけど、まるで全力を出さないことを、頑張らないことを決め込んだようなプレーからすれば、全然、違った。


まっすぐにゴールを目指すことは憚られても、瞬くんや一紀先輩、それに辻村くんのプレーに、このままでいいのかという迷いが生じているようだった。


それに、攻撃陣より一足先にいつものペースをつかんだ守備陣のおかげで、何度もゴールに迫られはしてもなんとか追加点は免れていた。


その必死の守備に後押しされるように、徐々にリズムが出てくる。



皆の表情がだんだんやわらくなっていく。


勝てるとか、勝てないとか。


先輩だから、後輩だからとか。


相手が、藤桜だからとか。


そんな理屈抜きに、サッカーを楽しんでいるように見えた。


< 211 / 424 >

この作品をシェア

pagetop