初恋シグナル~再会は恋の合図~
……頼もしい、うちのチームの新しい司令塔。
ねぇ、佐竹くん。
これでも、辻村くんを負け犬だなんて、藤桜を逃げ出した惨めな選手だなんて、そう言うの?
私は、佐竹くんに視線を向けた。
彼の視線の先は間違いなく辻村くんで。
……その目は、ぞっとするほど、冷たかった。
「……あの人、どうしてあんなに辻村くんのことを卑下するんだろう」
確かに佐竹くんは上手い。
2年生でチームをまとめているのもすごいと思う。
……でも、辻村くんと比べて、そこまでプレーに差があるようには見えなかった。
ううん、確かに佐竹くんはパスの精度やボールのキープ力は高いと思うけど、総合的に見たら、むしろ辻村くんの方が上なんじゃないかと思う。
佐竹くんの上手さは藤桜の上手いチームメイトに支えられているからこそ、引き出されている。
後半に入って、だんだん彼らのプレーにも慣れてくると、冷静に分析する頭も戻ってきて、そう思えた。