初恋シグナル~再会は恋の合図~


「部長って誰」


辻村くんは部室に足を踏み入れながら、誰にともなく尋ねる。


私のことは無視ですか。



「部長ならまだ来てないけど、君は?」



先輩もいる中、明らかに失礼な物言いの辻村くんにもしっかり営業スマイルの美涼先輩。


うちの部はいつだって部員募集中だから。



「入部希望者です。……じゃあ、取り敢えず、コレ」



そう言って、出迎えるように辻村くんに近づいた美涼先輩に差し出したのは、どうやら入部届けらしい紙。


それを受け取って、先輩はにっこり笑顔を深めた。



「辻村真二くん、ね。私は3年の朝倉美涼。マネージャーやってるの。よろしくね」


「はぁ」


「つかぬことをきくけど、あなた、藤桜からの転校生なの?」



「……そうですけど、それが何か」



いきなり訊かれるとは思っていなかったらしく、さすがの辻村くんも一瞬驚いたような顔をした後、そう答えた。


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