初恋シグナル~再会は恋の合図~


***


「おつかれさま」


「おー」



試合後、ユニフォームから着替えてきた辻村くんは、あの熱戦が嘘のようにあっさりとした態度だった。


もうすでにほとんどのメンバーは着替えを終えて各々帰路についている。

私も帰る仕度はとっくに済んでいたけど、話がある、という辻村くんの言葉を思い出して待っていたのだ。



ふたりで並んで歩き出す。


「……」


なんだ、この沈黙。



ていうか辻村くん、勝利の立役者なんだから、もっとテンション上げればいいのに。


あのとき。


辻村くんが放ったシュートは、力強くゴールを揺らして。


その後すぐに、試合終了のホイッスルが鳴ったんだ。



……うちがあの藤桜に勝てたなんて、まだ信じられない。


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