初恋シグナル~再会は恋の合図~
「……だよね。
お前は所詮負け犬なんだ。
……俺に勝てるわけないよね?」
そう言い捨てて、佐竹くんは辻村くんの胸元を掴んでいた手を乱暴に解いた。
「お前なんかに、負けるわけない。
……昔から、ずっと」
憎しみさえ感じられる低い声で佐竹くんはそう言うと、くるりと踵を返し、去っていった。
負け惜しみ?
……なんて思えないくらい、その言葉に込められた感情が、声から、表情から、
強く滲み出していた。
やっぱり、辻村くんと佐竹くんとの間にはなにかあったんだ。
同じチームの同じポジション。
ふたりの間にあるものは、それだけじゃない気がした。
彩織さんのことといい、佐竹くんのことといい。
私は全然辻村くんのことを知らないんだって、痛感する。