初恋シグナル~再会は恋の合図~
「……」
辻村くんはしばらく考えるように眉間にしわを寄せていたけど、やがて諦めたように息を吐いた。
「……わかったよ。
……彩織、先に行ってろ。すぐ追いつく」
「え?
……うん、わかった。じゃあそこの喫茶店に入ってるね」
彩織さんは安心したように笑顔を浮かべ、私に向けてありがとう、と頭を下げると、喫茶店の中に消えていった。
「……俺はお前に話があったんだけど」
再びふたりきりになったと同時に、辻村くんが呆れたようにそう言った。
「ごめん、でもやっぱりこのままじゃだめだと思うし」
私だって本当は会ってほしくないけど、とそう心の中で呟く。
だって、きっと彩織さんは辻村くんのことが好きだと思うから。
それに辻村くんだってなんだかんだ言って彩織さんのこと大事に思ってるんじゃないかって、感じるから……。