初恋シグナル~再会は恋の合図~
だけど、きっとこのままじゃずるずると皆が煮え切らない辛い思いを抱えるだけだ。
どこかで、断ち切らなきゃ。
「……長谷川、ちょっと」
「ん?」
ちょいちょい、と内緒話でもするみたいに小さく手招きされて私は深く考えることなく辻村くんに身体を寄せた。
瞬間。
グイッと急に背中に腕が回されて。
「え……?」
抵抗する暇もなく、私の身体はすっぽりと辻村くんに包まれていた。
ぎゅうっ、と身体に回る腕に力が入ったのが分かる。
鼻腔をくすぐる辻村くんの匂い。
あったかい体温。
とくん、とくんと規則正しく刻む心臓の音。