初恋シグナル~再会は恋の合図~
「……私、この話を他人にしたの、美祈ちゃんが初めてだよ。……私、今は湊ちゃんだけを好きになれて、幸せなの。だから、真二くんにも幸せになってもらいたくて」
「……」
彩織さんの言ってる意図がさっぱり分からず、私はひたすら首を傾げた。
すると、泣き濡れた瞳を、微かに笑みに細めた彩織さんは、小さく唇の端を上げた。
「……聞いてくれて、ありがとう。こんな形じゃなくて、もっと普通に…、クラスメイトとして出会えてたら、美祈ちゃんとなら私、仲良くなれてた気がする」
「……私、行きますね」
彩織さんの言葉に答えることはせずに、私は席を立った。
テーブルの上に、私が頼んだオレンジジュース代を置いて。
……結局一口も飲めなかったな……。
「……本当に、気付いてないんだね……」
真二くんの気持ち────。
私が席を立った後、彩織さんがひとりそんなことを呟いていたなんて。
私には、知る由もないことだった。