初恋シグナル~再会は恋の合図~
旅館の部屋に戻った私は、思わずその場にうずくまってしまった。
部屋に戻る前に先生から貸してもらった体温計が、トン、と掌から畳の上に滑り落ちた。
ガンガンとまるで誰かに内側から強く殴られているような頭の痛み。
「寝よ……」
私はよろよろと立ち上がり、乱雑に布団を敷くと、制服を脱ぎ、新しく用意してあった浴衣を羽織った。
早く眠って痛みを手放してしまいたくて、がばっと布団に潜り込む。
『私が真二くんの居場所を奪ったの』
「……やめてよ」
彩織さんの声が何度も頭の中で繰り返されて、私は涙声でそう呟いていた。