初恋シグナル~再会は恋の合図~
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「……ん……」
いつの間にか眠っていたらしい。
気が付けば開いたカーテンから差し込む光はなく、視界に映るのは見慣れない暗い部屋。
ゆっくり身体を起こし、枕元に置きっぱなしになっていた鞄からケータイを引きずり出して時間を確認すると、17時を回ったところだった。
暗いせいで、もっと遅い時間かと思った。
上半身だけを起こしたまま、私はゆっくりと部屋を見回した。
皆でいるときはあんなに賑やかで、……さびしいなんてこれっぽっちも思わなかったのに。
知らない土地でひとりぼっちなんだという孤独感が、唐突に私を襲った。
今日は夜9時まで自由行動。
きっと皆、それまでは帰ってこない。
気を遣って早く帰ってくる、なんてことはたぶんない。
私のせいで皆の貴重な時間を奪うのは嫌だ。
そんなことされたら、もう絶交ものだよ。
大事な修学旅行だもん。
誰だってそう思うだろうし、少なくとも弥代は私の気持ちを察してくれてると思う。
……でも。
あと4時間も、ひとりぼっちなの……?