初恋シグナル~再会は恋の合図~
さっき泣いたせいで赤くなった目のふちが痛々しくて。
普段より少し早い呼吸で、必死に酸素を取り込もうと微かに開いた唇はリンゴのように鮮やかな赤。
「……気付けよ」
そう言って、引きつけられるように伸ばした手。
指先があつい彼女の額に触れ、少し長めの前髪を顔から退ける。
彼女の綺麗な髪ですら、顔を隠すのがなんだかもったいなくて。
まっすぐすぎる彼女は、嘘みたいに鈍感で。
……だけど、そんなところも愛しかった。
今、サッカーが楽しいと思えるのも、この学校に来てよかったと思えるのも、彼女のおかげ。
だからこそ、彼女は自分にとって他の誰にも代わりにはなれないくらい、特別な憧れで、特別な「好き」の対象だった。