初恋シグナル~再会は恋の合図~
「……美祈」
寝顔を眺めていたら、いつの間にか自分の唇からそう名前が零れていた。
瞬間、その声に反応するかのように長谷川は小さく身じろぐ。
その仕草が愛しくて。
もっと近くにいきたくて。
「………」
気付いたら、仰向けの長谷川に覆いかぶさるように彼女の顔の横に手を着いて。
ゆっくりと、お互いの顔の距離を縮めていた。
無防備な寝顔は、理性を瓦解させるには充分だった。
一度外れてしまった箍(たが)は、もう自分ではどうしようもなくて。
距離を詰めていくごとに甘く鼻腔をくすぐる彼女の香りに、抗う術もなく頭の中が真っ白になる。
────触れたい。
それだけが、心の中で明確に見える本心だった。