初恋シグナル~再会は恋の合図~
「……わ、長谷川!!」
いきなり目の前で大声で呼ばれ、びっくりして身体が跳ねた。
慌てて視線を上げると、呆れたように私を見る顧問。
そこでようやく、部活終わりに顧問に呼びとめられて話をしている途中だったんだ、と思い出す。
「聞いてるのか?」
「あ、すいません……」
ぼーっとしてて聞いてませんでした、なんて。
……いつもなら、人の話の途中にこんなにぼんやりすること、ないのに。
「しっかりしてくれよ。せっかく選ばれたんだから」
「はい」
「これ、参加要項な。合宿中は公欠扱いになるから欠席にはならないが、休むことに変わりはないんだから勉強もしっかりしとけよ」
「はい」
私は顧問が差し出してきたプリント類を受け取って、頷いた。
顧問が「頑張れよ」と言って去っていく後ろ姿をなんとなしに見送りながら、きゅっとプリントを握る手に力を込める。