初恋シグナル~再会は恋の合図~
「あれ、なんか場違いな人がいる」
他のマネージャーの子と笑い合っていたら、急に冷たい声が響いて顔を上げると、そこに立っていたのは佐竹くんだった。
……そうだよね、選ばれてないわけないよね……。
「……お久しぶりです」
「あはは、そんな挨拶するような仲じゃないでしょ俺たち」
「……部屋割と日程表です。部屋に荷物置いたらミーティングルームに集まってください」
ずいっと佐竹くんの手に資料を押しつけて、私は彼の後ろに並んでいた人の受付に移る。
「……サオに比べたら本当フツーだよね、あんた」
なんで真二はあんたなんかを選んだんだろうね。
すれ違いざま、立ち止まって佐竹くんは嘲笑交じりにそう言った。
……彩織さんの方が私なんかよりずっと綺麗なことなんて言われなくたって分かってるよ。
私は言い返したい衝動をぐっと堪えて唇を噛む。
彩織さんの話を聞いて、佐竹くんの印象は悪くなるばかり。
辻村くんは彼を責めるようなことは何も言わないけれど、私にはどうしてそんな寛大でいられるのかわからない。
この人のせいで、辻村くんは藤桜にいられなくなったのに。