初恋シグナル~再会は恋の合図~
「……まだ?」
「あ、はい!すいません……、って、辻村くんじゃん」
順番待ちをしていた人の声にハッと我に返ると、待っていたのは辻村くんだった。
いつもどおり、どこか不機嫌そうな表情。
だけど辻村くんを見た瞬間、佐竹くんのせいで固まっていた気持ちが、不思議なくらいにふわっと和らいだのを感じた。
「おはよう!」
「なんでいんの」
「マネージャー参加なんだ。……はい、資料!」
「サンキュ」
私から資料を受け取って、小さく微笑んだ。
それがすごく嬉しくて。
修学旅行からあまり話すこともなかったから、辻村くんの柔らかい表情をまっすぐ見たのも久しぶりだった。
修学旅行から帰ってきて1週間しかたってないのにね。
なのにその1週間でさえ、私には久しぶりだと思うくらい、長く感じたんだ。
なんとなく、避けられてるかもって思ってたけど、気のせいだったのかな。
だって普通に笑ってくれるもん。